2021年度から、中学校で新学習指導要領が完全実施となります。
2020年の数学と理科の移行措置については、
をご覧ください。
今回の改訂で注目すべきは英語です。
英語に関しては、学習内容が大幅に難化します。
1年後の教科書改訂に備えるため、変更点をまとめてみます。
単語
現行の学習指導要領では、教科書に載っている単語を全部合わせても1200語程度です。
受験対策上は「英単語ターゲットの1800語」を覚えていれば、公立高校の入試問題は概ね解けます!
ところが、新学習指導要領では「小学校で600~700語を扱う」とされていますので、小学校と中学校合わせて1800~1900語を覚えることになります。
小学校外国語活動・外国語科の教材
- Let’s Try! 1 , 2
- We Can! 1 , 2
に載っている単語を「読めて」「書けて」「発音できる」ようになっていなければいけません。
と言うことは、中学校入学時点で早くも大きな実力差が付いてしまうかも…。
そしてちょっと注意なのは、5・6年生には英単語の暗記は求められていません。
単語のつづりを覚えて書く…のではなく、お手本を見て、正しく書き写せればOK!
目の前に答えがあるのに、正しく英単語を書き写せない中学生、たくさんいますからね…
まずは写すことから始めましょう!ってことです。
今までは英語教育に消極的だった塾も、これからは呑気なことは言ってられなくなります。
小学生にとっては「計算」「漢字」「英単語」が学習の基本となっていくでしょう。
文法・文構造
小学校の外国語科では、移行期間中に
- 代名詞のうち、I , you , he , she など基本的なもの
- 動名詞や過去形のうち、活用頻度が高い基本的なもの
が「知識・技能」として必ず指導されるべき、とされています。
現行では中学2年の学習内容に相当する部分を、既に6年生で学習していることになります。
また小学校によっては、疑問文のうち
- be動詞で始まるもの
- can , do など助動詞で始まるもの
- 疑問詞(who , what , when , where , why , how)で始まるもの
についても既に学習しているケースが多いようです。
これらに加え、これまでは高校の学習範囲だった内容が中学校に移動してきます。
- 感嘆文のうち基本的なもの
- 主語 + 動詞 + 間接目的語 + thatで始まる節 / whatで始まる節
- 主語 + 動詞 + 目的語 + 原形不定詞
- 主語 + be動詞 + 形容詞 + that節
- 現在完了進行形
- 仮定法のうち基本的なもの
「原形不定詞」「現在完了進行形」「仮定法」は高校1年の必修事項でしたから、これらが中学校の教科書に入ることで、高校入試の問題も大きく難化すると予想されます。
対策
長年、生徒に教えている私の実感では…
公立の中学校に進学予定の6年生のうち、国語の「主語・述語の関係」をバッチリ理解している生徒は半分もいません。
国語の理解が不十分な状態で、5・6年生のうちから英語を多く取り入れる、というのは非常に危険です。
「詰め込み教育」が批判され始めて久しいですが、皮肉なことに「単語・文法の継続的な暗記の積み重ね」が、英語学習において最も重要なポイントになっていくでしょう。