令和3年度 都立高校の入試では、出題範囲の一部が除外されます。
中学3年生の学習内容については、概ね7ヶ月程度で学習可能な分量を出題範囲とするそうです。
同様の動きは長野・奈良・長崎でも…
まず最初に、東京が方針を打ち出したことで、他県も追随する可能性は大いにありますね。
では出題範囲が狭くなることで、学習塾への影響は?
例年と、何か変わるんでしょうか?
はい、変わるのは
直前期だけです!
出題範囲から除外する内容
まず「どこが出ないのか?」を確認します。
【国語】
中学3年生の教科書で学習する漢字
【数学】
- 三平方の定理
- 標本調査
【英語】
関係代名詞のうち、主格のthat、which、who及び目的格のthat、whichの制限的用法。
【社会】
公民的分野のうち
- 「私たちと経済」の「国民の生活と政府の役割」
- 「私たちと国際社会の諸課題」
【理科】
- 「運動とエネルギー」の「力学的エネルギー」
- 「科学技術と人間」
- 「地球と太陽」の「太陽系と恒星」
- 「自然と人間」
ちょっと、
多すぎない?
と思ってしまったのは、私だけでしょうか…
除外する目的
なぜ、これだけ多くの範囲を除外するのか?
これは、東京都による「救済措置」と見るべきでしょう。
まず、生徒の救済。
中学生で塾に通っている生徒の割合…
東京都は、約70%です。
全国平均は約61%ですから、やはり東京は塾に通っている生徒が多いと言えます。
それでも、約3割の生徒は塾に通っていないわけで、「学びの場所が学校だけ」という生徒が一定数、いることになります。
もし教科書の内容がすべて終わっていない状態で、入試を迎えてしまったら…
塾に通っていない生徒は、明らかに不利です。
公平性を担保する意味で、一部範囲の除外は妥当な措置と言えます。
そして、先生の救済。
例年通りの試験範囲だとすると、学校としてはかなりの超スピードで授業を進めなければいけなくなります。
入試を意識するあまり、焦って内容の薄い授業をしたのでは、それこそ本末転倒。
試験範囲を限定することで、先生の授業の負担を軽減することができます。
学習塾への影響
完全補習型で「いつも学校の復習しかしない!」という塾だと影響が出るかもしれませんが…
集団も個別も、多くの塾は予習型でしょう。
6月の段階で、もう3年生の内容がすべて終わっている、という塾もチラホラ見かけます。
試験範囲は大胆に削られてますが…
夏以降しばらくの間、塾への影響はないと思われます。
通常のカリキュラムを淡々と進めて、除外された範囲についても、塾では教えるはずです。
どれも高校課程につながる重要な単元。
カットするとは、とても思えません。
「入試に出ないから、やらなくていいや!」などと、妙な期待しないように!
塾に影響が出るとしたら、それは「入試直前期」です。
なぜなら、過去問をそのまま使えません!
過去問をやりつつ、コレは出ない… コレは出る…
と、いちいち問題を選別しなくてはいけなくなります。
またVもぎの過去問集も、そのままでは使えません。
大手の集団指導塾だと、今から令和3年度専用の直前テキストを作り始めるんじゃないでしょうか…
さて、PHASEはどうしましょう?
千葉県の教育委員会からは、まだ正式な発表はありませんが、仮に東京と同様の措置が取られたとしても、カリキュラムの変更は考えてません。
三平方の定理なんて、理解しないまま高校へ行ったら地獄ですよ…
関係代名詞だって、修飾関係が見えなかったら長文読解が意味不明に…
ただ理科の天体だけは、ちょっと薄くしようかな?って感じです。
受験生としての心構え
試験範囲の一部が除外されたことで「楽になった!」と思っているとしたら…
それはとんでもない思い違いです。
入試をナメちゃ、いけません。
いくらでも難しい問題は作れます。
単純に設問の数を増やすだけでも、得点差は大きく広がるでしょう。
変則的な入試になったとしても、基本の理解を徹底すること、速く正確に解くことを常に心掛けてください。