(2020年6月の記事です)
自粛生活が解除されて「みんな大丈夫かな?」と思っていたところに、卒業生から連絡が来ました。
塾講師…辞めたいです。
いきなりの重い相談…
彼は都内で一人暮らしの大学3年生。
1年前から個別指導塾で講師をしていますが…
長期休校の影響でシフトが崩壊してしまったのか、学校が再開された後も塾の仕事は週1コマのみ。
教える仕事は好きなので、塾業界に関わっていたい!
という気持ちはあるものの、稼げないんじゃ…
そりゃ悩みますよね。
個別指導塾の講師は辞めて家庭教師へ…と考えているようです。
そこで私からのアドバイス。
それなら家庭教師をやってみよう!
大学生に敬遠される個別指導塾
今や個別指導塾と言えばブラックバイトの代名詞。
中にはクリーンな塾もありますが、総じてサービス残業・時間外労働が横行しています。
全国的にアルバイトの最低時給は960円。
塾業界に限ってはなんと1200円。
数字だけを見て「やっぱり塾講師はオイシイじゃん!」と思ったら大間違い。
授業が始まる30分前には教室に入り、打ち合わせと準備です。
多くの個別指導塾の場合「どの生徒を教えるか?」は教室に行ってみないとわかりません。
授業の30分前に生徒のカリキュラムを確認して、授業内容を組み立てます。
もちろんこの30分間、給料は発生しません。
授業後は報告書の記入と、なんかよくわからないミーティング…
長いと1時間を超えます。
90分の授業であるはずが、なんだかんだで拘束時間は3時間。
そうなると時給換算では600円に…
やってられます?
こんなバイト…
家庭教師の待遇
稼げない個別指導塾に見切りをつけて、いざ家庭教師へ!となった場合。
どこの大学に通ってるか?は非常に重要です。
時給はだいたいの目安ですが…
家庭教師の派遣会社に登録すると、
- 東大 国立医学部 … 5000円以上
- 早慶上 旧帝大 … 4000円
- GMARCH 地方国公立 … 3000円
派遣会社などを介さず個人契約にすれば、時給はもうちょっと上がります。
ただ私の経験上、GMARCHの文系だと個人契約はかなり厳しいです。
好待遇を勝ち取るには「数学・物理・化学、全部できます!」とか「中学受験算数も教えられます!」などの希少性が求められるでしょう。
家庭教師のメリット
受け持つ生徒の学年にもよりますが、家庭教師の契約期間は受験終了まで。
「長期契約」を結べるのは家庭教師最大のメリットです。
また成績が上がったり第一志望に合格すれば、引き続き弟・妹の指導も…
となったり、ママ友つながりでご近所の方を紹介してくれる可能性もあります。
この「紹介の連鎖」が発生すると、黙っていてもお声が掛かったりして…
すべては結果次第ですが、評判が良ければ数年は家庭教師としてやっていけるでしょう。
家庭教師を始めるには?
大学内の掲示板を見ると、塾・家庭教師の募集が大量に貼ってありますね。
ほとんどは企業の募集ですが、ごく稀に個人で募集している人もいます。
保護者(主に父親)との面談を突破しなければいけないので、非常に難易度は高いです。
それでも個人契約は時給を高めに設定してくれるので、チャレンジしてみる価値はあります。
また最近では自分でホームページを作ってプロ家庭教師を名乗る!というやり方もあります。
Twitter・Instagramなどで積極的に営業活動をしている人、いますよね。
- 距離的に通える範囲か?
- 生徒のニーズにマッチするか?
- どの程度 依頼があるか?
などの問題はありますが、SNSを駆使する!という手段もアリでしょう。
「家庭教師の派遣会社に登録する」という従来の形にこだわらなくてもいいと思います。
家庭教師の注意点
最後に、重要な注意点が…
- 今、個別指導塾の講師をしていて、担当している生徒と個人契約を結ぶ…
- 家庭教師の派遣会社を通じて契約した家庭と、改めて個人契約を結ぶ…
そんな考えが頭に浮かんだ人へ。
保護者にとっては支出を減らすことができ、講師は取り分を増やせる。
付き合いが長くなってくると、保護者側から気軽に話を持ち掛けてくることがあります。
ところがコレ…
ほとんどが就業規則違反。
最悪の場合、訴訟になります。
「塾を退職して、個人で契約すれば問題ないでしょ!」
「家庭教師の派遣会社を解約すれば大丈夫!」
などと考える人もいますが…
塾や派遣会社からお客さんを奪っていることに変わりはありません。
保護者からどんなにいい条件を提示されても、乗っちゃダメです。
雇用契約書をもう一度、よく読んでください。
まとめ
大学生にとって塾講師が魅力あるアルバイトではなくなってしまったことは、本当に残念です。
でも実力と熱意があれば、プロ家庭教師として稼ぐ道はあります。
個別指導塾で生徒の信頼を勝ち得ている先生なら、思い切って独立してみるのもありでしょう。