(2019年12月の記事です)
「頭のいい先生の教え方って、どうなんでしょう?」
「できない子の気持ち…わからないんじゃないですか?」
以前、個別指導塾の教室長をしていた時に、学年順位がほとんど最下位の生徒の親御さんから言われたことです。
その時の私の答えは…
「そんなことないです。優秀な先生ほど教え方は上手ですし、お子さんの気持ちも真剣に考えていますよ。」
どうやら親御さんからすると…
「優秀な先生は勉強で苦労していない」
「小さい頃から失敗をしていない」
だから「できない子の苦しみがわからない」というご意見のようです。
失礼を承知で申し上げれば…
このような親御さんはご自身も勉強での成功体験がほとんどないため、高学歴の先生に対して、ある種の嫉妬心をお持ちなのかもしれません。
「どうせ、うちの子の気持ち(=と言うか私の気持ち)なんてわからないでしょ!」
と言わんばかりに。
当時塾には十数名の先生がいましたが、全員が国公立・早慶上・MARCH以上の学生でして…
パッと見、みんな賢そうなルックスなわけです。
そんなに信用できないなら他の塾へ行ってくれてもいいのに…
と思いながらも、私の塾に興味を持っていただいた方です。
そこは丁寧に親御さんの誤解を解いていかなければなりません。
優秀な先生は本当に教え方が上手いのか?
誰しも初めから良い教え方ができるわけではありません。
教えた経験が全くない新人先生の場合…
いくら偏差値70の学生と言えど、教え方に関してはほとんど素人です。
自己満足で暴走しがち。
当たり前です、教えた経験がないわけですから。
でも実際に授業を担当し、研修・指導を継続していくと、半年経ったあたりで変化が見られます。
明らかに生徒を惹きつける説明ができるようになるのです。
先生としての自覚を持って、教え方に対する研究を重ね、反省を繰り返しているからです。
優秀な先生ほど自分の教え方を振り返り、ベテランの技を積極的に取り入れ、より良い教え方を追求する傾向にあります。
また勉強で苦労していないか?と言うと…
決してそんなことはありません。
優秀な先生ほどテストでの失敗や「できない」という経験を何度もしています。
できない…
解けない…
どうしよう?
考えよう!
教わろう!
ん、ちょっとできた!
他の問題は?
同じかな?
ちょっと違うな…
でも似てるぞ…
あ、解けた!
できるじゃん!
こうした試行錯誤を幾度となく繰り返して、難関大の入試を突破しているわけです。
「わからない」「できない」という経験、それを克服して今があります。
とは言え、お互い人間ですから相性はあります。
いくら教え方が上手でも、なんとなくちょっと合わない…
ということは当然あるわけで、そうした時は先生の変更をお願いすべきですね。
なかなか成績が上がらないお子さんは、まず先生探しから始めてみてはいかがでしょう?