2020年4月10日
緊急事態宣言が発令されて3日目です。
今日も塾周辺、遊び回る小中学生の姿はありません。
外出自粛ムードの中、犬の散歩をするおじいちゃん、自転車で蛇行するおじいちゃん、何故かご機嫌なおじいちゃん…
お外はご高齢の方ばかりです。
改めて生徒・保護者の方にご希望を伺ったところ…
やはり「塾で勉強したい!」という声が多数でした。
近くに感染者が出ていませんので、休校にするかどうかは一旦保留。
教室での指導は人数を限定して、ごく少人数で行うことにしました。
そして可能なご家庭には、オンライン授業をご提案。
「双方向遠隔授業」、簡単に言うと「LINEのビデオ通話」を導入です。
オンライン授業の効果
オンライン授業で適切な指導ができるか?
答えは…「生徒によります!」
日頃から、コミュニケーション能力の高い生徒は、教室での指導とほぼ変わることなく、質疑応答が成立します。
でもPHASEのような超小規模・個別指導塾には、コミュニケーション能力の高い生徒って…
実は、そんなにいないんですよね。
どちらかと言うと内気、内向的、人見知り…な感じの生徒の方が多いわけです。
対面であまり喋らない生徒が、ビデオ通話でペラペラ喋れるわけがありません。
試しにやってみましたが…
「あ…はい…大丈夫です…」
私からの質問に、途切れ途切れに答えるだけで、会話になりません。
まあ、これはある意味、予想通り。
「教室で授業ができなくても、オンラインがあれば大丈夫!」
と考えるのは、ちょっと短絡的ですね。
オンライン授業で効果が上がる生徒は
- 人の目を見てハッキリ喋れる
- 質問内容が整理できている
- 向上心を持っている
という、ごくごく限られた生徒だけです。
オンライン授業に適した学習
教科によって、オンラインに合う・合わないがあります。
比較的、オンラインに適していると思われるのは「国語」と「英語」でしょう。
講師と生徒がそれぞれ同じ教材を持っていて、手元にある教材を読みながら解説することができます。
読解でも文法でも、何頁の何行目…と指示が出せますし、「えっ?今どこやってるの?」という行き違いが起きません。
音声通話だけでも、ある程度の疑問は解決できそうです。
一方、オンライン向きじゃないのは「数学」と「理科」。
既に習った範囲の問題を解いて、間違えたところ、わからないところを解説するだけならイケそうですが…
図や表に書き込みながら解説しなければいけないような問題だと、オンラインでは限界があります。
通話・映像にプラスして、「資料」を画面上に出さなければいけません。
また解いていく過程も黒板と同じように、リアルタイムで映し出す必要がありますので、YouTuber並みの下準備が要ります。
「数学」と「理科」、しかも予習の範囲となると、理解力のある上位層の生徒にしか、効果を発揮しないように思われます。
広がる学力格差
現在、試験的に導入している「LINEのビデオ通話」は、スマホさえあれば最低限の質問はできます。
でも本当に最低限であって、やはり自宅にパソコンがないと教室に近い形は作れません。
教材もダウンロードしようと思ったら、プリンターも必要です。
「パソコン」「プリンター」「ネット環境」の全てが揃っていないと、本格的なオンライン授業は導入できないわけで…
「オンラインに変更します。皆さん、大丈夫ですよね?」という塾の方針変更は、あまりにも強引で一方的です。
オンライン環境が整えられる家庭では学習が継続できますが、そうじゃない家庭もあります。
むしろ、「パソコン」「プリンター」「ネット環境」を揃えることができないから塾に通わせている、という家庭も多いはずです。
ツールのある・なしで学力に差がついてしまうのは、何とも不公平…。
塾で継続的に学習を続けている生徒と、そうじゃない生徒…
6月に学校が再開された時には、数ヶ月分の差が開いていることが懸念されます。